学びの多様化学校って?|増えていく学びの場

最近よく聞く「学びの多様化学校」という言葉。
今回はそんな疑問にお答えし、学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)はどのようなものなのかについて解説します。

学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)とは

そもそも学びの多様化学校とは、学校教育法施行規則第56条に基づいて文部科学大臣が指定する学校で、不登校児童生徒の実態に配慮して特別に編成された教育課程に基づく教育を行う学校のことです。
(参照:文部科学省「不登校児童生徒の実態に配慮して特別に編成された教育課程に基づく教育を行う学校の概要」

ざっくり言うと、不登校児童生徒を対象に、柔軟なカリキュラムで教育活動を行っている学校です。
以前は不登校特例校と呼ばれていましたが、2023年8月31日に学びの多様化学校に名称が変更されました。
様々なタイプの学校がありますが、ICT教材を積極的に取り入れていたり、文化的な活動や社会体験活動を多く実施していたり、習熟度別のクラスを編成したりと、各校特色のある教育活動を展開しています。
また、共通してスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーと連携した教育相談、保護者相談に力を入れているのも特徴と言えるでしょう。

学びの多様化学校の設置状況

学びの多様化学校は年々増加しており、令和7年度現在、全国で58校設置されています。
そのうち、公立学校が37校、私立学校が21校という内訳になっています。
(参照:文部科学省「学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)の設置者一覧」

さらに、学びの多様化学校には設置形態として、「本校型」「分校型」「分教室型」「コース指定型」の4つがあります。
あまり聞き慣れない表現も含まれていますね。以下に簡単な説明を載せておきます。

本校型廃校など学校設備をそのまま活用するタイプ
分校型本校とは分離して設置するタイプ
分教室型一般の小・中学校を母体とする本校をもち、一部の学級のみを学びの多様化学校として指定するタイプ
コース指定型高等学校等において一部のコースを学びの多様化学校のコースとして指定するタイプ

(参照:文部科学省「学びの多様化学校の設置にむけて(手引き)」

内訳としては、本校型22校、分校型5校、分教室型22校、コース指定型9校です。
このように、設置形態も柔軟であることが、学びの多様化学校の増加を後押ししているとも言えそうです。

学びの多様化学校はなぜ必要?

不登校児童生徒数は右肩上がりで上昇している現状で、全国では34万人以上とされています。
以下は、文部科学省の調査を基にグラフにしたものです。

(参照:文部科学省「令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」)

これらはあくまでもデータとして上がってきているものであり、潜在的にはもっと多いと考えられます。
いずれにせよ、多様性に応じた学びの場が重要となっていることは明らかです。

こうした現状を背景に増加している学びの多様化学校ですが、今後も増加していくことが予想されます。
文部科学省による「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLOプラン)」では、将来的には全国で300校の設置を目指すとしています。
ちなみにですが、このCOCOLOプランの中で、「不登校特例校」という名称をより子どもたちの目線に立ったものへとするために、「学びの多様化学校」と改称されています。
(参照:文部科学省「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLOプラン)」

学びの多様化学校の費用は?

実際に通うことになると気になるのが費用面ですよね。
学びの多様化学校の費用は、公立か私立かによって大きく異なります。

公立の学びの多様化学校であれば基本的に学費は無料です。ただし、別途教材費や活動費などの実費分がかかることもあります。
一方で、私立の場合には学費がかかってきます。自治体によっては授業料の支援制度があることや、国による高校無償化制度など、私立の学びの多様化学校であっても利用できる制度もあるため、事前に確認しておくと安心です。

フリースクールとの違い

こうした学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)に通う場合には、転籍・転入という形になることが一般的です。すなわち、自身の通う学びの多様化学校が在籍校となるのです。そして一般の小学校、中学校、高等学校等と同様に卒業資格を得ることができます。

ここがフリースクールとの違いです。フリースクールも独自の活動を提供し、特色ある学びの場を展開していますが、あくまでも民間の教育サービスという位置付けです。
そのため、フリースクールに通う際には現在在籍している小学校、中学校、高等学校等に籍を残したまま通うことがほとんどです。
※フリースクールに通うことで学校の出席扱いにもなります。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

まとめ

最近よく聞く、学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)についてここまで見てきました。
一人一人に異なったニーズがあり、学びの多様化が求められているのが今の時代です。

一人一人異なるからこそ、一人一人に合う場所は異なります。
学びの多様化学校に限らず、フリースクールをはじめ、様々な学びの場が増えています。
本人に合っている場所なのか、まずは見学や相談に行ってみるといいでしょう。

自分らしく進む一歩の助けとなりますように🌱

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