中学生に“フリースクール”という選択肢|本人に合った安心できる居場所とは

中学生にとってのフリースクールとは?|不登校・登校に悩む子のもう一つの選択肢

「学校に行きたくない」「行こうと思っても身体が動かない」――そんな思いを抱える中学生が、今増えています。家庭で見守る保護者の方も、「このままで大丈夫?」「どんな選択肢があるんだろう」と、悩みや不安を抱えているのではないでしょうか。

でも、安心してください。学校とはちがう、もう一つの居場所がちゃんとあります。

この記事では、登校に悩む中学生とそのご家族に向けて、「フリースクール」という選択肢がどのような場で、どんなサポートを受けられるのかをご紹介します。

フリースクールとは?

フリースクールの定義と基本的な仕組み

フリースクールとは、学校に行きづらさを感じている子どもたちのための「もう一つの居場所」です。文部科学省の制度上、民間が運営する教育サービスとして扱われ、学習支援や体験活動、心理的サポートなどを通じて子どもたちの成長を支える場とされています。

通う中学生の特徴や背景とは?

フリースクールに通う中学生には、それぞれに異なる背景や思いがあります。

  • 落ち着いた環境で人との関係を築きたい
  • 自分のペースで学びたい
  • 毎朝決まった時間に登校することが負担に感じる
  • 得意や関心を活かせる場所で過ごしたい
  • 同じ悩みを抱える人に出会いたい

などなど、当然一人ひとり異なります。共通しているのは、「自分らしく安心して過ごせる居場所を求めている」という点です。

学校との違い|出席扱いになるのか?

フリースクールに通うことが、学校の「出席」として認められるかどうかは、在籍校と教育委員会の判断によります。文部科学省の通知では、一定の条件を満たすことで出席扱いとすることが可能とされていますが、実際の運用は地域差があります。

そのため、通い始める前に、フリースクール側と在籍校との連携が取れるかどうかを確認しておくことが大切です。本人の意思と家庭の方針を尊重しながら、丁寧な話し合いを重ねていくことが望まれます。

フリースクールに通う中学生の現状

学校へ行きづらさを感じる背景は一人ひとり違う

学校へ行きづらさを感じる背景には、本人の気質や感じ方、生活のリズム、周囲の環境など、さまざまな要素が関係しています。必ずしも明確な「原因」があるわけではなく、いくつもの小さなきっかけが複雑に絡み合っていることも多いものです。

本人も「なぜ学校に行けないのかわからない」と感じているケースもありますし、保護者や支援者が原因を突き止めようと焦ることで、かえって悪影響を及ぼすこともあります。

大切なのは、「どうして行けないのか」ではなく、「今、どうすれば安心して過ごせるか」という視点で考えていくことです。

「このままでいいの?」という不安の正体

学校に行っていない時間が続く中で、「このままでいいの?」という気持ちが芽生えることがあります。これは決して自己否定ではなく、「何かを変えたい」「前に進みたい」という前向きな意志の表れかもしれません。

実際には、“立ち止まっている時間”こそが、自分を見つめ直し、次の一歩に向けた準備期間であることも多いのです。

保護者が抱える孤立感と将来への不安

「どうしてうちの子だけ…」という孤立感や、「これからどうなるんだろう…」という将来への不安を抱えている保護者の方も多いかもしれません。周囲に相談できる人がいなかったり、学校からのサポートが十分でなかったりする中で、フリースクールは親にとっても支えとなる存在です。

フリースクールの特長

自分のペースで過ごせる安心感

学校と違い、フリースクールは登校時間や過ごし方が柔軟であることも多いです。無理せず通い始めることができます。

他人と比べない学び方ができる

学年や成績にとらわれず、「自分に合った学び」を大切にします。苦手を責めるのではなく、得意を伸ばすスタイルです。

信頼できる大人と出会える

教師とは異なる立場のスタッフが子どもと対等に関わります。安心して話せる大人の存在は、子どもの回復や成長にとってとても大切です。

好きなこと・得意なことを見つけやすい

ものづくりや自然体験、ゲーム制作など・・・多岐にわたる活動を行っているフリースクールも多いです。こうした活動を通して自分の好きなこと、得意なことを再発見することができるかもしれません。

社会とのつながり・進路へのステップになる可能性も

その他にも、例えば地域との交流やボランティア活動などを取り入れているフリースクールもあります。そうした経験が、自信や社会性、将来の進路選択につながるケースもあります。どのような活動があるかは施設ごとに異なるため、事前の見学や相談が大切です。

フリースクールでの1日の過ごし方

中学生の1日スケジュール(例)

以下は、sunow (スノー)での一例です。皆がこの通りに過ごすわけではなく、一人ひとりの希望に応じて、無理のないスケジュールを一緒に考えていきます。

時間帯活動内容
12:00〜13:15チェックイン・お昼
13:15〜13:30フリータイム
13:30〜14:30学習の時間
14:30〜15:15探求の時間
15:15〜16:00クラブ活動
16:00〜16:20ミーティング・対話タイム
16:20〜16:30チェックアウト・帰宅

学習・活動・人との関わりのバランス

フリースクールでは「学ぶ」「遊ぶ」「休む」が自然に混ざり合っています。勉強だけでなく、友達との交流や自分の時間も大切にしています。

例えばsunowでは、午前と午後で小学生と中学生以上で時間帯を分けて、年齢に応じた安心できる過ごし方を大切にしています。 一方で、お昼の時間は異なる年齢の子どもたちが自然に交わる“つながりの時間”。 個別の安心と、多様な交流、その両方を大切にしています。

自主性や興味を大切にする環境

フリースクールでは、子ども自身の「やってみたい」「気になっている」という気持ちを尊重する関わりを大切にしています。一人ひとりのペースや関心が反映されるように、スタッフと共に過ごし方を考えていく姿勢が基本です。
小さな選択や挑戦を積み重ねる中で、自分の関心や感覚に気付いたり、いろいろな人と関わったりと、自然に“自分らしくいるためのヒント”を見つけていくことができます。

フリースクールに通う中学生の進路は?

高校進学?どんな進路があるの?

フリースクールに通う中学生も、高校へ進学することはもちろんできます。通信制高校、定時制高校、全日制高校など、さまざまな選択肢があり、どれが正解というわけではありません。

大切なのは、「本人に合った進路」を選ぶこと。そのために、どんな学び方が自分に合っているのか、どんな未来を思い描いているのかを、時間をかけてとことん考えていくことが必要です。焦らず、寄り添いながら一緒に進路を探していく姿勢が、何よりの支えになります。

フリースクールを選ぶときのポイント|中学生に合う場所とは?

もちろん一人ひとりニーズは異なるため、選ぶ際のポイントも異なってきます。例えば以下のような内容がポイントになることがあるようです。

学習サポートの有無

日々の学習に対する支援があるかどうかも、フリースクール選びの大切なポイントです。プリント学習やタブレット学習、個別対応など、学び方は多様です。
勉強に対する不安や「わからない」をそのままにせず、安心して学び直したり、興味を深めたりできる環境が整っているかを確認してみましょう。

人との関わり

フリースクールでは、スタッフや他の利用者との距離感がとても大切になります。少人数の落ち着いた環境で、一人ひとりに合わせた関わり方がされているかどうかを確認してみましょう。
「どんな人がいて、どのように接してくれるのか」「一人で過ごせる時間はあるのか」など、スタッフや他に利用している中学生との関わりについても各フリースクールの特色があります。お子さんにとって安心できる雰囲気かどうか、見学・体験などで直接感じてみることが大切です。

活動内容や施設の雰囲気

料理、自然体験、アート、創作など、実施している活動が本人の関心に合っているかどうかを確認することは大切です。ただし、多くのフリースクールでは、活動内容そのものを一緒に考え、つくっていくスタイルを大切にしていることが多いため、その辺りも相談してみるといいかもしれません。
「こんなことをやってみたい」「こんなものを作ってみたい」といった声が尊重される環境かどうかも、大きなポイントです。見学や体験を通じて感じ取ってみてください。

保護者との連携や相談体制

保護者面談や交流会など、保護者向けサポートがあるかどうかも、安心して任せられるかの判断材料になります。

まとめ|中学生のためのフリースクールは“新しい出発の場所”

フリースクールは、「学校に行かないこと」を前提とした場ではなく、今の自分に合った過ごし方や学び方を模索するための選択肢のひとつです。今の自分を大切にしながら、これからの自分について考えたり、自分らしい歩み方を見つけたりしていくための場です。

お子さんやご家庭にとって、本当に安心できる場所が見つかるように。少しでも気になったら、まずは気軽に見学や相談をしてみてください。

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