はじめに
学校へ行きたがらない/行けない…そんな状況で、「どうしてあげればよいかわからない」「受け入れ先がない」という不安を抱える方はたくさんいます。また、本人自身も「行きたくない、でも何かしたい」という葛藤の中で立ち止まることがあります。
そんなとき、**『フリースクール』**という新しい学びと成長の場があります。
本記事では、フリースクールの役割、受けられるサポート、種類・選び方、そして次へ踏み出すヒントをまとめています。
みなさんの『次の一歩』の参考となれば幸いです。

1. 不登校でお悩みの方へ|フリースクールとは?
フリースクールの役割と特徴
- フリースクールは、学校へ行かない子どもたちが、安心して過ごせる「もう一つの学びの場・居場所」です。
- 学校と同じカリキュラムや時間割の縛りがない。
- 一人一人のペース、置かれた状況、興味・関心が尊重される。
- アットホームで、多様で豊かな成長の機会がある。
学校とは違う、多様で安心できる学びの場
公立・私立の学校とは異なり、心身の安心感をベースとして、多様で豊かな学び・成長の機会が提供されるのが特徴です。
2. なぜフリースクールが必要なのか
日本の不登校の現状と背景
文部科学省の調査(令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要)によると、不登校児童生徒数は右肩上がりで上昇し、全国では34万人以上となっています。しかし、ここに注意すべき点が潜んでいます。
そもそも不登校とは?
文部科学省によると、「不登児校童生徒」とは「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しないあるいはしたくともできない状況にあるために年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの」と定義しています。
実はこの「年間30日以上欠席」というのがポイントです。教室ではなく、例えば保健室や相談室などの別室登校、または特別支援教室での指導のみ受けた日なども出席扱いになることがほとんどです。この場合、文科省の定義で言うところの「不登校」には該当せず、上記の数値には含まれないこともあります。すなわち、データとしては上がってきていない、学校や教室での集団生活に馴染めず、苦しんでいる児童生徒が多数いる可能性を示しています。
学校に来てはいるけど、「居場所」と感じられていない。現に筆者はこうした児童生徒に出会う機会も多く、近年は非常に増えている印象を受けています。
このように、一人一人の状況やニーズは様々で、単に「不登校」と一括りすることはできません。当然、既存の教育システムだけで対応することは難しくなっており、一人一人に合った場を提供していくことは喫緊の課題と言えるでしょう。その一つの選択肢としてフリースクールが挙げられます。
フリースクールが提供できる安心とサポート
フリースクールは、大人数の集団生活に苦しさを感じる子どもたちが落ち着いて過ごせる居場所となるだけでなく、様々なサポートが受けられます。なお、受けられるサポートの種類や内容は、フリースクールごとに異なりますので、あらかじめ調べておくことをおすすめします。
3. フリースクールで受けられるサポート例

学習サポート|個々のペースで学べる
- 独自カリキュラムや個別の対応、オンラインなど、個々の関心・状況・ペースを尊重した学び方。
心のケア|カウンセリング・メンタルサポート
- 公認心理師・臨床心理士など心理の専門家による面談。
- 対話、表現活動、リラクゼーションなど、多様な方法で心身のケアをサポート。
家族へのサポート|相談・情報提供
- お子さんの状況や進学・進路の相談。
- 家庭でできる具体的なサポートやコミュニケーションのヒントの提供。
進学・進路サポート|次の一歩へ向けて
- 本人に合った進路のための相談。
- 就職・職業体験など、多様な機会や情報の提供。
様々な体験活動|交流・成長の機会
- 自然体験、職業体験、アート活動など、多様な体験活動。
- 保護者の方同士の交流会または勉強会など。
4. フリースクールの種類と選び方
自治体・NPO・民間のフリースクールの運営主体
自治体、NPO、民間などの運営主体があり、様々な種類・スタイルのフリースクールが運営されています。
それぞれに合うフリースクールの選び方(例)
例えば以下のような視点がフリースクール選びのヒントとなるかもしれません。
- 見学・体験で雰囲気・相性を確かめる。
- 本人の意向・希望を尊重する。
- 学習だけでなく、心理的ケアも受けられるか。
- 保護者に対するサポートや保護者同士の交流会はあるか。
- 通いやすさ・通学方法
5. 【まとめ】フリースクールが次の一歩に。
フリースクールは単なる『居場所』ではなく、多様で豊かな成長の『一歩』となる可能性のある場です。
「どうしてよいかわからない」「次の一歩が見えない」というときこそ、ぜひ相談や見学、体験から始めてみてください。
ご本人や保護者のみなさんが『安心できる未来』へ向かう、確かなヒントとなるはずです。
