本人の得意なことや、不得意なことを把握する際に役立つWISC-V検査。
でも実際受けて結果をもらっても、その見方が分からないということも多いと思います。
今回はWISC-Vの結果を見る際によく聞く「ディスクレパンシー」という用語について解説しながら、WISC-Vの結果の見方について説明していきたいと思います。
(関連記事:WISC(WISC-V)とは?—子どもの得意・不得意がわかる心理検査の基礎と活用)
ディスクレパンシーとは?

そもそも「ディスクレパンシー」という用語は何を意味するのでしょうか。
これは検査の結果、各指標などの間で得点に差がある状態のことを指します。
すなわち得点に差がある部分に目を向けることで、本人の得意な処理と不得意な処理を理解しようとするものと言えます。
有意な差なのか否か
しかし、各指標の得点が全く同じということの方が珍しく、指標間の差は大なり小なりあるものです。
どのくらいで「差がある」と判断されるのでしょうか。
一般的に、WISCを含む多くの知能検査ではおおよそ15点前後の差があると、能力のばらつき(ディスクレパンシー)があると捉えられることが多いと言われます。
そのため、結果を見たときに「この指標とこの指標の差が大きい」と感じる目安として、15点程度の差が話題にされるイメージです。
ただし、専門的には単に数値的な差の大きさだけを見るわけではありません。
ここはとても注意が必要なポイントです。
知能検査においては、単に数値の大きさだけでなく、測定誤差を考慮した統計的な基準を用いて、その差が統計的に意味のあるものかどうかが検討されます。
要するに、その差というのは偶然起きているものなのか、実際に能力に差があって起きているのかを判断しているわけです。
また、解釈する上ではその差がどの程度の頻度で見られるものなのか(ベースレート)も参考にしています。
そのため実際の解釈では、数字に「差があるかどうか」だけではなく、
- 統計的に意味のある差かどうか
- その差がどの程度珍しいものなのか
- 下位検査の特徴や日常場面での様子
なども含めて、総合的に理解していくことが重要です。
「ディスクレパンシー=問題」ではない
「差がある」「ばらつきがある」「凹凸がある」といった表現とともに、「ディスクレパンシー=問題」という構図で捉えられていることは少なくありません。
先にも述べたように、得意・不得意があることは自然なことです。
むしろその得意・不得意を理解されないことが辛さを生むのです。
だからこそその差から、本人の得意な理解の仕方や学び方を読み取ることが大切になります。
例えば、PSI<WMIといった表示を見たことがあるかもしれません。
この場合、ワーキングメモリー(WMI)に比べて、処理速度(PSI)は低めという意味です。
言い換えれば、覚えることは比較的得意だけれど、素早く物事を処理することが苦手な可能性が考えられます。
また、同じ指標の中でも得意な処理と苦手な処理があることもあります。
同じワーキングメモリーであっても聞いたことを覚えることが得意な子もいれば、絵など目で見たものを覚える方が得意という子もいます。
このように、指標間に限らず指標内における差(ディスクレパンシー)に目を向けることで、本人に対する理解を深めて、その後の支援策に活かしていくことができるのです。

数字だけでの判断は危険
しかし、注意として数字だけで判断することはやめましょう。
WISCの数値結果というのは、あくまでも本人の一側面を表しているに過ぎません。
たとえ同じ数値が出ていたとしても、行動観察での様子や、環境要因によって解釈は異なってくるものです。
それらを踏まえてsunowでは結果説明も丁寧に行っています。
WISCをはじめとして、心理検査は受けて終わりではありません。
大切なのは結果をどう活かしていくかです。
WISCの結果とも上手に向き合い、少しでも本人にとって役立つものとして活用したいですね🌱
sunow (スノー)でのWISCについての詳細はこちらからご覧ください。
WISCについて
※WISCの各指標の解説にはこちらをご覧ください。
【WISC-V 指標解説①|言語理解】言葉の理解力・説明力の特徴とは?
【WISC-V 指標解説②|視空間】空間認知・視覚パターンの認識とは?
【WISC-V 指標解説③|流動性推理】考える力・問題解決の力とは?
【WISC-V 指標解説④|ワーキングメモリー】情報を保持しながら処理する力とは?
【WISC-V 指標解説⑤|処理速度】作業スピードと正確性?