このシリーズでは、WISC-Vを構成する5つの指標について解説しています。
※WISCについての概要と、すでに解説済みの指標についてはこちらをご覧ください。
WISC(WISC-V)とは?—子どもの得意・不得意がわかる心理検査の基礎と活用
【WISC-V 指標解説①|言語理解】言葉の理解力・説明力の特徴とは?
【WISC-V 指標解説②|視空間】空間認知・視覚パターンの認識とは?
第3回目となる今回は、「流動性推理」の指標を取り上げます。
「この指標で何がわかるのか」
「結果をどう読み取ればいいのか」
をできるだけわかりやすくお伝えします。
そもそも「流動性推理(FRI)」とは?

そもそも「流動性推理」指標って、何を測っているのでしょうか。
流動性推理とは、抽象的思考や視覚的な問題解決能力を指します。
すなわち、子どもが新しい情報や状況に対して、柔軟に対応する力があるかを測っている指標です。
曖昧な状況に対して、直感的に判断したり、何かしらの手がかりをもとに論理的に考えて判断することができるかを評価していると言えるでしょう。
「視空間」と「流動性推理」の違いって?
WISC-Vの指標解説シリーズの第2回目で取り上げた「視空間」も、今回取り上げている「流動性推理」もどちらも「目で見る情報」をもとに処理する力を測定しています。
実は、WISC-Ⅳでは「知覚推理」として1つの指標にまとまっていました。
しかし、WISC-Vではこれが「視空間」指標と「流動性推理」指標として2つに分かれました。
改めてそれぞれを簡潔にまとめると、以下のようになります。
- 視空間:物同士の関係。大きさや形、位置関係などを素早く判断する力
- 流動性推理:パターン認識。発想力や創造力、推理力を用いて問題解決をする力
同じように目で見る情報であっても、処理の仕方の得意・不得意で子どもの強みや長所も変わってきます。
流動性推理が高いと・・・
では、その流動性推理が高いと一体どんな特徴があるのでしょうか。
簡単にまとめると、例えばこんなことが言えそうです。
- 算数や数学の問題を解くのが得意(考えて解く問題)
- 未知の課題にもチャレンジができる
- ひらめき力がある
- 試行錯誤して課題を解決できる
このように、流動性推理が高いと、初めての問題や正解が決まっていない課題でも、ひらめきや試行錯誤を通して解決に向かう力が強く、考えることそのものを楽しめると言えるかもしれません。
よくある誤解ではありますが、ここで言う「ひらめき」は思いつきではなく、推理に基づく直感であることを確認しておきましょう。
あらゆる情報を統合して判断しているのです。
流動性推理が高い場合の特徴は、もちろんこれだけはないですし、他の能力とあわせて見ると、全く同じ特徴があるとは限りません。
だからこそ、WISCにおいて5つの指標で見ることが大切なのです。
流動性推理が低いと・・・
次は逆に流動性推理が低い場合を見てみましょう。
例えばこんな特徴が考えられます。
- 理系が苦手になりやすい(計算力や暗記力とは別)
- 新しい状況の適応に時間がかかる
- 因果関係に気づきにくい(プロセスに目が行きにくい)
- 応用することが苦手になりやすい
流動性推理が苦手な場合、初めての状況や正解が決まっていない課題に戸惑いやすく、因果関係や応用的な理解に時間がかかることがあります。
ただし、手順が整理され、見通しが持てると力を発揮しやすいこともあります。
当然、一つの指標だけでは特徴を断定することはできません。
他の能力との組み合わせによってどう見えるかは大きく変わるものです。
総合的に把握しつつ、本人に合った対応を検討していくといいでしょう。
例えば、流動性推理が不得意な場合には、手順や考え方を「型」として示したり、一気に飛躍させずに順をもって進めていく、具体的な例で説明することなどが効果的です。
「考えさせる」よりも「考えやすくする」支援が有効で、明確に手順を示したり、具体例や図を使って関係性を見える形にすることで、理解は安定し、少しずつ応用にもつながっていくでしょう。
また、カードゲームやボードゲームなどを通して、自然とパターンを認識する力も育っていくかもしれませんね。
まとめ
今回はWISC-Vの指標の一つ、「流動性推理」について詳しく見てきました。
WISCをはじめとして、心理検査は受けて終わりではありません。
大切なのは結果をどう活かしていくかです。
sunow (スノー)におけるWISCでは、ご本人の強みや課題を整理して、今後の学びや生活にどう結びつけるかを丁寧に考えていきます。
次回のシリーズでは「ワーキングメモリー」について取り上げます。
どうぞお楽しみに!

sunowでのWISCについての詳細はこちらからご覧ください。
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