カウンセリングという言葉、誰もが一度は聞いたことがあると思います。
実際、心理支援という文脈に限らず広い分野で使われている「カウンセリング」という言葉。
今回はそんなカウンセリング(心理カウンセリング)について見ていきたいと思います。

そもそもカウンセリングって?
まずざっくりカウンセリングとは何なのでしょうか。
カウンセリングとは、専門のカウンセラーとの対話を通じて、悩みや不安、考えを整理したり、あるいは新たな気づきを得ていくこと、そしてそのことによって心を軽くしていくサポートです。
仮に目の前に大きな問題がなくても、「安心して話せる場所」が欲しい人にとって、心の安全基地となる役割も果たします。
カウンセリングにおいては、枠が大切とされています。
毎週、もしくは隔週などで同じ曜日、同じ時間、同じ場所、同じ料金でカウンセリングを受けることでそれ自体が習慣化され、自分の内面に安心して目を向けることができます。
曜日や時間がバラバラよりも、こうした枠組みが設定されることで、一層「安心して話せる場所」が確固たるものと感じるとともに、自然と自分の内面にも意識が向きやすくなります。
カウンセリングの目的
カウンセリングでテーマに上がることは様々で、何をゴールとするかも一人一人異なります。
目的やゴール自体の明確な設定が難しく、それを共に考えることからスタートするケースも決して少なくありません。
カウンセリングにおける目的をあえて捉えやすくするのであれば、大きく2つに分けられます。
現実的な問題の対処と、自分らしさの探索です。

現実的な問題の対処
まず前者、現実的な問題の対処から見ていきましょう。
例えば、過度なストレスによって眠れなかったり集中できなかったりする、上司からのプレッシャーを負担に感じてしまい仕事に集中できない。
または、家族やパートナーとの関係、友人関係や職場の人間関係などの対人関係がうまくいかずに気分が落ち込む。
挙げ出したらキリがありませんが、要するに日常生活や社会生活の中で不適応を感じ、それが症状として出ていたり、本来の力が発揮できていなかったりする状況です。
こうした状況の場合には、まずは心(もちろん身体も)が回復すること、軽くなることが大切です。
カウンセラーとの対話の中で、今呈している課題や悩み事の背景は何なのか一緒に考えながら見つめて、できることを考えていきます。
必要に応じて休むことも必要かもしれませんし、その他の機関と繋がる必要があるかもしれません。
自分らしさの探索
次に、自分らしさの探索についてです。
こちらは一つ目とは異なり、日常生活や社会生活は特に問題はなく過ごしていることが多いかもしれません。
もしくはカウンセリングによって現実的な問題が対処されて、心も身体も落ち着いてから新たに見えてくる、対処したいと思うテーマでもあります。
「生活は何となく送れているし、文句もないけど、味気ない。」「自分の人生って何のため?」
「ずっとこのままでいいのだろうか。」
こんな漠然とした問いが頭に浮かぶ時、おそらく自分らしく生きることができていない、要するに自己実現できていないと感じているのかもしれません。
何となくこれでいんだろうかと感じている時に、自分自身について振り返り、自分の内面を見つめて模索し、自分らしい生き方を見つけていくプロセスです。
この場合には、具体的で明確なゴール設定を即座にすることは非常に難しいでしょう。
カウンセラーとの対話の中で自分自身を模索しながら、発見していくことになります。
「話を聴く」以上のプロセス
上記のようにカウンセリングには大きく分けて2つの目的がありますが、カウンセリングを受ける上でよく聞く勘違いについて触れておきます。
カウンセリングと聞くと、「ただ話を聞くだけ」と思われがちです。
しかし実際には、カウンセリングは心理学の知見を用いて気持ちや行動の整理を助けたり、自分自身を発見していくことをサポートする専門的なプロセスです。
例えば、クライエントが現実的な問題に対処する必要がある場合には、具体的の助言をすることもあるでしょうし、自分らしさを探っている時には話を聞いて解釈を与えることもあります。
しかし、こうした助言や解釈をする上でも、クライエントの置かれている状況や考えていることなどをよく知らないと効果的に行うことはできません。
そのためカウンセラーは、まずは情報収集をして詳細なアセスメントを行います。
その上で初めて助言等を行いますが、これも一方的にアドバイスするというものではなく、本人の気づきを促したり、選択できるように伝えたりと、あくまでもサポートの姿勢です。
いずれにせよ、「ただ話を聞くだけ」ではなく、カウンセラーは頭の中ではいろいろ考えて、常にアセスメントをしているものです。

カウンセリングではどんなことを話す?
人間関係の悩み、仕事や学校でのストレス、キャリアや家族に関する不安など幅広いテーマが対象です。
「こんなことで相談していいの?」と思う内容でも問題ありません。
もちろん言葉が整っていなくても大丈夫です。
思うままに話してみて、カウンセラーと一緒に整理していくことができます。
例えば以下のようなテーマがあります。
- 職場の人間関係
- 仕事におけるストレス
- キャリアに関する悩み
- 学業の悩み
- 学校での人間関係
- パートナーについて(カップル・夫婦)
こうしたテーマに限らず、本当に幅広いテーマが扱われます。
来談者(クライエント)のニーズに合わせて
クライエントの話すニーズに合わせて、カウンセリングのゴールやその後の方向性などを決めていきます。
しかし、実際に話す内容と潜在的なニーズが異なることも多いものです。
だからこそすでに述べた通り、上手に話そうと意識する必要はなく、まず自分が思う悩みや不安を打ち明けてみてください。
そこからカウンセラーとの対話の中で、共に整理していくと良いでしょう。
正確なアセスメントのためには情報が必要であるため、アセスメントに数回の面接が必要なことも多々あります。
カウンセリングの効果・メリット

カウンセリングの効果についてもケースバイケースであり、扱うテーマなどによっても異なります。
必ずしもすぐに効果が出るとは限りませんし、むしろ効果を感じるまでにはある程度の時間を要するものです。
しかし、効果があるのか、カウンセリングをこのまま受けていて意味があるのかと不安になることもあると思います。
そんな時には、カウンセラーに直接その不安を伝えてみると良いでしょう。
その後の対話に変化が生じ、さらに深まるかもしれません。
参考までに、考えられるカウンセリングの効果をいくつか紹介します。
気持ちや課題の整理と気づき
話すことで心が軽くなり、自分の感情や今の状況を客観的に整理する機会になるでしょう。
自分の気持ちを整理していく過程で、「自分はこう考える傾向がある」「本当はこう感じていたんだ」と気づくこともあります。
これ自体が大きな効果を及ぼすでしょう。
問題理解の深まり
目の前の問題の背景を一緒に考えることで、その問題に対する理解が深まります。
理解しようとカウンセラーと一緒に問題を見つめること自体が、問題と距離をとって冷静になるきっかけとなります。
対処スキルの向上
問題が整理され、理解が深まったら、対処法を考えやすくなります。
カウンセラーと一緒に考えていくことで、問題への対処スキルを高めることにも繋がっていくでしょう。
自己理解の深化
カウンセラーとの対話を繰り返すことで、今まで知らなかった自分自身に出会うこともあるでしょう。「自分らしさ」を探っていく中で、自己に対する理解が深まっていくと思います。
人生を自分の足で歩んでいくための一歩とも言えるかもしれません。
料金や回数、キャンセルポリシーなど
料金
カウンセリングは多くの場合、1セッション45分〜60分で行われていることが多いです。
1セッションにかかる費用は、カウンセラー資格や経験、地域によっても変わります。
目安としては1セッション5000円〜10000円くらいと言えるでしょう。
特に都市部では1セッション10000円を超えることもあります。
回数や頻度
回数や頻度については扱うテーマによって大きく変わります。
短期で数回で終わることもあれば、数年単位でかかることもあります。
特に自己探索のカウンセリングの場合には、明確なゴールというものがないため、じっくり取り組んで数年単位で続くことも稀ではありません。
頻度については毎週、隔週、月1回などこれもまた様々です。
自分が納得するところまで継続することが基本ですが、頻度も含めてカウンセラーに相談してみることをおすすめします。
キャンセルポリシー
クライエントの来談をカウンセラー側も準備して待っています。
そのため、直前のキャンセルは料金が発生する場合が多いと思います。
予約時に確認しておきましょう。
カウンセラーの選び方
カウンセラー選びに苦労する方も多いかもしれません。
例えば、以下のようなことを確認するといいでしょう。
資格・専門性(公認心理師、臨床心理士)
カウンセラーが保持している資格や専門性などについて確認することです。
国家資格である公認心理師や、専門性の高い臨床心理士といった資格があることが一つの目安です。
専門領域
カウンセラーにも得意な領域(専門分野)というのが存在します。
自分が相談しようしているテーマと大きく外れていないか確認しておくと、ミスマッチを防げます。
相性
資格や専門領域もとても大切であり、ある程度事前に調べられますが、こちらの相性については実際に受けてみないと分かりません。
しかし、実際にはこの相性が最も大切であるとも言えます。
まずはカウンセリングを受けてみて、話しやすさ、口調や波長などが合うかを判断することが大切です。
まとめ

今回はカウンセリングについて見てきました。
カウンセリングは、クライエントとカウンセラーの対話を通して、悩みや不安、考えを整理したり、あるいは新たな気づきを得ていく創造的なプロセスです。
少しハードルが高そうに感じるカウンセリングですが、悩みや不安を一人で抱える必要はありません。
まずは気軽に受けてみることをおすすめします。
きっと何か気づくことがあることでしょう。
具体的なカウンセリングの流れについてはこちらの記事も参考にしてみてください。
(初めてのカウンセリング ー 構造・流れ・初回面接の進み方 ー)
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皆さんの第一歩のお役に立てますように🌱